いつでも簡単にできるセルフ・コンパッションの練習

日常生活で、ちょっと嫌なことがあったとき
ストレスを感じるようなとき
自分を責めてしまうようなとき

コーヒー・ブレイクのように、
ちょっとした休憩などにもできる
「セルフ・コンパッション・ブレイク」を
試してみてください。

このエクササイズは、
辛い状況に直面している時に、
セルフ・コンパッションの三つの要素
(マインドフルネス、共通の人間性、自分への優しさ)を
思い出して対処することができるようにするためのものです。

スージングタッチや自分への言葉がけを通して、
自分に思いやりを向けていきます。

「 セルフ・コンパッション・ブレイク 」をやってみよう

では、「セルフ・コンパッション・ブレイク」の練習をしてみましょう。

可能ならば、軽く目を閉じてみてください。
目を開けておきたいという方は
ぼんやりと開けておいてもかまいません。
まずは、人生において
自分のストレスとなる状況を今考えてみましょう。

セルフ・コンパッションのまだ最初の練習の段階では、
取り上げる問題は中程度の
あまり深刻ではない問題にしてください。
健康上の問題、人間関係の問題、仕事の問題
その他何でも構いません。

ではその状況を鮮明に思い描いてみましょう。
どんな状況でしょうか?誰が誰に何を言っていますか?
今何が起きていますか?何が起こる可能性がありますか?

こうした難しい状況を思い出していくと、
体にちょっとした痛みや圧迫感などの
不快なものを感じるでしょうか?
もし何も感じないという場合は、
もう少し大きな問題でもかまいません。

まず、自分に対して「これは辛い状況だね」と
声をかけていきます。
苦しいとき、そのことをそのまま気づいている。
これがマインドフルネスです。

言い方は他にもあります。
他の言い方の例として、
「辛いね」「痛い」「ストレスたまるね」「しんどいね」
これ以外のもっとしっくりくる言い方もあるかもしれません。
自分で言葉を選んで自分に声をかけていきます。

大切なのは、今の自分の気持ちを
とりあえず「言語化」することです。


ネガティブな気持ちというのは
無意識のうちに、見ないふりをしてしまったり
無理やり追い払おうとしてしまったりしがちです。
「言語化」して形にすることによって
一旦は客観的に認識することができ
感情に飲み込まれにくくなります。

次に、「共通の人間性」を思い出すような
言葉がけをしていきます。

たとえば「人生悩むこともあるよ」
これは「共通の人間性」を表します。
共通の人間性とは、誰もが自分と同じような
苦しみを味わうことがあったり、
誰もが不完全で過ちを犯すことがあるということです。

言葉は他にもいろいろあります。
他の言い方の例として、「苦しいのは自分だけじゃない」
「きっとみんな自分と同じような経験をしている」
「これと似た状況に置かれたら誰でもこういう感情になるよね」
などの言葉があります。他の言葉でも構いません。
共通の人間らしさを感じるようなフレーズを思い浮かべます。

次にスージングタッチを自分にしてみます。
自分の手のぬくもりや、サポートを感じられるようなところ、
今の自分がしっくりくるなあと感じられる場所に
手を置いてじっくり感じてみます。

そして「自分に優しく出来ますように」
あるいは「自分に必要なものを与えられますように」
このような声をかけてみます。
他にも困難な状況に置かれた時に、
自分で聞きたい優しいサポートのある、
何か特別な言葉があるかもしれません。

他の言い方の例としては
「ありのままの自分を受け入れられますように」
「ありのままの自分を受け入れられるようになりますように」
「自分を許せますように」
「忍耐強くいられますように」など、
自分への優しさを示す言葉であれば何でもかまいません。

大切なのは、今の自分にしっくりくるフレーズであることです。
同じような意味の言葉でも
人によってしっくりくる言葉は違うかもしれません。
(たとえば、「苦しみ」と「悩み」、「親切」と「サポート」など)
何通りかの違う言葉で色々と試してみて、
自分に合った言葉を見つけて実践していくことがポイントです。

もし自分で合う言葉がなかなか見つけられないという場合は、
あなたの親しい友達や愛する人が、
自分と同じ問題を抱えていると想像してみてください。
その人に今あなたはどんな言葉をかけるでしょうか?

シンプルでも心からの優しさの伝わるメッセージは
どんなものになるでしょうか?

今、親しい人、愛する人にかけた
その言葉をそのまま自分にかけてみます。

そしてゆっくりとまぶたを開けましょう

エクササイズをしてどんな感じでしたか?

このエクササイズが自分でどんな感じだったか
ら少し時間を取って振り返ってください。

一番最初の「これは辛いね」という言葉で、
マインドフルネスを呼び起こしたこの後に
気づきはあったでしょうか?
何か変化はありましたか?

共通の人間性を示した二つ目の言葉、
自分への優しさを示した三つめの言葉を
かけた後に何か感じたでしょうか?
あるいは変化が起きたでしょうか?

大切な人や親しい人にかけるような、
心からの優しい言葉を見つけることはできたでしょうか?
もし見つかったのでしたら、
それを自分にかけてみるということをして
どんな感じがしたでしょうか?
簡単に出来ましたか?
それとも友達にはかけられるけど、
自分にかけるのはちょっと難しいと感じたでしょうか?

自分に対して優しい言葉をかけるのが
難しいと感じても大丈夫です。
ただ「今は難しいんだな」と
そのまま受け入れてください。

自分に合った言葉を見つけるというのは、
時間がかかる場合もあります。
時間がかかっても大丈夫です。
いつかは自分に合った言葉が見つかります。

この実践は瞑想のように行ってもかまいません。
あるいは日常生活でちょっとしんどいなと思った時に
三つのおまじないのような言葉として
使ってもかまいません。